「プレゼント代、デート代全部返せ!」元カレ・元カノからのまさかの返金要求、どうすればいい?
渡し終えたものは、原則として返す必要がないって知ってた?
プレゼントを渡す行為は、法律では「贈与契約」にあたります。これは、一方が無償で財産を与える意思を示し、もう一方がそれを受け入れることで成立する契約のこと(民法549条)。難しく聞こえるけど、要は「あげるよ」「もらうね」という気持ちが通じ合えばOKで、書面がなくても口頭で成立するんです。
「え、書面がない贈与はいつでも取り消せるって聞いたけど?」って思った人もいるかもしれませんね。たしかに民法550条にはそう書いてあるけれど、「履行の終わった部分については、この限りでない」というただし書きがポイント!
これは、「まだ渡していないもの」なら取り消せるけど、「すでに相手の手に渡ったもの」や「すでに支払い済みの飲食代・旅行代」については、原則として一方的に返還を求めることはできない、という意味なんです。
裁判でも、「交際中の男女の贈り物は、相手への好意からくるもので、後から返還を求めることは想定されていない、いわば『貰い切り、遣い切り』が一般的だ」という考え方が示されています。だから、特別な合意がない限り、一度渡したものは基本的に返す必要がない、と覚えておいてね。
でも、こんな場合は返還義務が生じるかも?4つの例外パターン
「原則はそうだけど、例外もあるの?」そうなんです。相手が「これは贈与じゃなくて〇〇だったんだ!」と言ってくる可能性のある4つのパターンを見てみましょう。
1. 「贈ったんじゃなくて、貸してたんだ!」
もし相手が「これはプレゼントじゃなくて、貸したお金(物)だったんだ」と主張してきたら、話は変わってきます。この場合、返す合意があったとみなされれば、返還義務が生じる可能性があるからです。
でも、貸したことを証明する責任は、請求する側(貸したと言っている側)にあります。借用書や、返済を前提としたLINEのやり取り、一部返済の記録などがなければ、なかなか認められにくいでしょう。洋服やアクセサリーのような身近なものについて「貸していたつもり」と言われても、通りにくいことが多いです。ただ、車や高額な貴金属など、普通はプレゼントしにくい大きな金額のものは、当時の関係性や渡した経緯によって慎重に判断されることになります。
2. 「〇〇するって条件付きで渡したんだ!」(解除条件付贈与)
「毎週会うって約束したから渡したんだ。約束が守られないなら返して!」なんて言われるケースも。法律上、条件付きの贈与(解除条件付贈与)という考え方自体はあります。
でも、恋愛関係でプレゼントに条件を付けるのは、やっぱり不自然ですよね。契約書などでハッキリと条件が明記されていれば別ですが、LINEのやり取りで軽く触れただけ、とか口頭で言っただけ、という場合は、条件だと認められなかったり、そもそも証拠が残っていなかったりすることがほとんどでしょう。
3. 「騙された!恋愛感情を利用されたんだ!」(詐欺)
「本当は私を騙すつもりだったんでしょ?恋愛感情を利用して私からお金を出させたんだ!」という主張ですね。詐欺による意思表示は取り消すことができるので(民法96条1項)、もし詐欺だと認められれば、不当利得として返還の問題になります(同703条・704条)。
でも、詐欺だと主張する側は、「相手が最初から騙すつもりだった(故意)」ことを証明しないといけません。恋愛関係の中でのやり取りは、ビジネスと違って曖昧なことも多いですよね。結果的に約束が果たされなかったとしても、最初から騙すつもりだったと証明するのは、実はとても難しいことなんです。ただし、実在しない入院費用を偽って金銭を受け取ったなど、具体的な嘘があった場合は話が変わってきます。
4. あなたがうっかり「返す」と言ってしまった
法的には返す義務がなかったとしても、もしあなたがその場で「返します」と答えてしまったら、新しい合意が成立したと評価される可能性があります(和解=民法695条など)。例えば、分割で一部だけ支払ってしまった場合も、「債務を認めた」と受け取られかねません。
義務があるかどうかを確認しないまま、その場を収めようと口にした一言が、後々の交渉で一番不利になることもあるので、ここは特に注意が必要です。
請求された時に、これは避けておきたい!NG対応
もし元恋人から返金要求があったら、焦らずに次の点に気をつけてくださいね。
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その場で「返す」と答えない。 金額の妥当性以前に、そもそも返す義務があるのかどうかを確認するのが先決です。
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一部だけ支払って穏便に済ませようとしない。 義務を認めたと受け取られてしまう可能性があります。
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やり取りを削除しない。 LINEやメールの履歴、写真、振込履歴などは、あなたがどういう経緯でお金や物を受け取ったのかを示す大切な証拠になります。自分を守るための材料になるので、消さずに保存しておきましょう。
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感情的な応酬をしない。 感情的になってしまうと、返還請求とは別の新たなトラブルを招くことになりかねません。
「無視していい?」それは請求の形によって変わります
もし支払義務がないと判断できるなら、相手の要求に応じる必要はありません。でも、請求がどんな形で届いたかによって、放置していいかどうかが変わってくるので、ここは見落としがちなポイントです。
LINEや電話、あるいは内容証明郵便(いつ、どんな内容の郵便を送ったかを郵便局が証明してくれる制度)には、それ自体に支払いを強制する力はありません。内容証明に書かれた請求が正しいかどうかまでは証明してくれないからです。
一方で、裁判所から書類が届いた場合は、全く性質が異なります。
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支払督促:受け取ってから2週間以内に異議を申し立てないと、相手の申し立てによって手続きが進み、強制執行(財産を差し押さえられるなど)が可能になることがあります。
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訴状:答弁書を出さずに裁判の期日を欠席すると、相手の主張を認めたことになってしまい(擬制自白)、負けてしまう可能性も。
つまり、本来なら返す義務がなかったはずなのに、裁判所からの書類を放置したばかりに、支払いを命じられてしまう、なんてことにもなりかねません。裁判所名義の書類だけは、内容にかかわらず必ず期限を確認し、早い段階でどう対応するかを検討することが大切です。
請求の仕方が「ちょっとやりすぎ!」な場合
返還を求めること自体は、自分の権利を主張する限り、すぐに違法とは言えません。でも、そのやり方や態度が社会の常識を超えてくると、別の問題になってきます。
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「危害を加えるぞ」などと言って怖がらせたら脅迫罪(刑法222条)に。
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さらにその上で、お金を無理やり交付させたら恐喝罪(同249条)に。
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義務がないことを無理強いさせたら強要罪(同223条)にあたる可能性があります。
どこからが「やりすぎ」なのかの線引きはとても微妙なので、自分で判断するのは避けて、専門家に相談するのが賢明です。
また、返却のやり取りを口実に何度も接触してくる場合は、ストーカー規制法の対象となり、警察からの警告や禁止命令が出されることもあります。もし相手が勝手に家に入って物を持っていこうとしたら、それはたとえ自分の物だとしても「窃盗罪」(刑法242条)や「住居侵入罪」(同130条)になる可能性があるので、これも覚えておいてくださいね。
落ち着いて対応するためのステップ
もし元恋人から返金要求があったら、次の手順で落ち着いて対応を進めていきましょう。
- 受け取ったものを整理する:いつ、何を、どんな気持ちで受け取ったのかを、時系列で書き出してみましょう。
- 記録を保全する:LINE、メール、写真、振込履歴など、関係するデータは決して自分で消さずに保存しておきましょう。これらがあなたを守る証拠になります。
- 請求の中身を特定する:誰が、何について、いくらを、どんな理由で、いつまでに求めているのかを冷静に確認します。名目ではなく、実際に渡された当時の状況が判断の基準になります。
- やり取りの窓口を一本化する:感情的な直接のやり取りは精神的な負担になるだけでなく、トラブルを長引かせる原因にもなります。もし可能なら、弁護士などの専門家を間に挟むことを検討するのも良いでしょう。
- 仮に応じる場合も、必ず書面にする:もし返還に応じることになったとしても、「何を、いくら支払うのか」を明確にし、今後はお互いに一切請求しない旨(清算条項)を必ず書面に残しましょう。そうしないと、同じ請求が繰り返される恐れがあります。
まとめ
別れた元恋人からの返金要求は、本当に戸惑うし、精神的にもつらいものですよね。
原則として、あなたがもらったプレゼントやデート代は返す必要がありません。例外的に返還義務が生じる可能性があるのは、「これは貸したものだったのか?」「何か条件が付いていたのか?」「騙し取られたものなのか?」、そして「自分が『返す』と約束してしまったのか?」という点です。
義務がないからといって、裁判所からの書類まで無視してしまうのは危険です。また、請求のされ方によっては、脅迫や恐喝など刑事上の問題になることもあります。
金額の大小にかかわらず、まずは請求の内容を冷静に確認し、その場で焦って答えを出さないこと。これが、結果的にあなた自身を守る最も安全な対応につながります。もし不安になったら、一人で抱え込まずに信頼できる人に相談したり、専門家の力を借りたりすることも考えてみてくださいね。
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