職場での「信頼」は動くもの!上司・部下の約3人に1人が3カ月以内に「信頼低下」を経験?そのメカニズムと修復プロセスを徹底解説!
約3人に1人が「信頼低下」を経験!意外と身近な問題だった
「え、そんなに?」と驚くかもしれませんが、調査によると、上司(リーダー)も部下(メンバー)も、なんと約3人に1人が直近3カ月以内に相手への信頼が揺らぐ出来事を経験しているんです。

リーダーの33.3%、メンバーの34.7%が信頼低下を経験しているなんて、信頼の揺らぎは一部の特別な関係に限らず、多くの職場で日常的に起こっている現象だということがわかりますよね。なんだかホッとしたような、やっぱり…というような、複雑な気持ちになる人もいるかもしれません。
上司と部下で信頼の基準が全然違う!?
この調査で特に興味深かったのが、リーダーとメンバーでは「信頼を判断する基準」そのものが異なっている、という点です。

- リーダーが重視するのは「何をするか」
リーダーは、メンバーが「報告・相談をしっかりするか」「仕事をきちんと遂行するか」「責任ある行動をとるか」といった、業務遂行に関する部分を信頼の基準としている傾向があるようです。

例えば、「報連相がない/遅い」が信頼低下につながる出来事として最も多く挙げられています。また、「重大なコンプライアンス問題」や「裏切り・陰口」などは、信頼を大きく失う原因になる傾向があるみたい。
- メンバーが重視するのは「どう関わるか」
一方、メンバーは、リーダーが「説明をきちんとしてくれるか」「話を聞いてくれるか(傾聴)」「支援してくれるか」といった、自分との関わり方を信頼の基準としているようです。

「嘘・ごまかし/言っていることが変わる」が最も多く、信頼を大きく失うのは「ハラスメント(に近い言動を含む)」や「理不尽な対応・叱責」だそう。「わかる!うちのリーダーもそう!」と思った人もいるのではないでしょうか。この基準のズレが、すれ違いの原因になっているのかもしれませんね。
信頼が揺らいだ時、私たちはどう反応する?
信頼が低下したとき、上司と部下ではそれぞれ異なる反応行動をとる傾向があることもわかりました。
- リーダーは「監視」と「関係修復」へ
リーダーは、相手を注意深く見る「監視行動」を強める傾向がある一方で、「声を上げる」「関係を再交渉する」といった、関係を立て直そうとする行動も多く見られます。不信を感じても、関係を断ち切るのではなく、なんとか修復しようと努力する姿勢がうかがえます。

- メンバーは「距離化」や「沈黙」へ
これに対して、メンバーは「距離を置く」「監視する」「何も言わない(沈黙)」といった、回避的な反応を示す傾向があるようです。特にハラスメントや嘘・ごまかしなど、リーダーの意図や誠実さに不信を感じた場合にこの傾向が強いそう。これは、リーダーが気づかないうちに信頼関係が悪化してしまう可能性がある、ということかもしれませんね。

信頼低下を左右するのは「怒り・反発」と「受け止め方」
信頼が揺らぐメカニズムを深掘りすると、最も強く影響していたのは「怒り・反発」といった感情と、相手の言動をどう受け止めるか(原因帰属:げんいんきぞく、つまり「なぜそうなったのか」の原因を何に求めるか、という考え方のこと)でした。

「相手がわざとやった」「誠実さに欠ける」と受け止めた場合は信頼低下が大きくなりやすい一方で、課題の難しさや状況に原因を求めた場合は、低下が相対的に小さかったそう。同じミスでも、相手の意図をどう解釈するかで、信頼の揺らぎ方が大きく変わるということですね。

信頼低下がもたらす深刻な影響
信頼関係の揺らぎは、単に気持ちがモヤモヤするだけでなく、仕事にも大きな影響を与えてしまいます。
- リーダーへの影響
メンバーへの信頼が揺らぐと、リーダーは「育成意欲の低下」や「メンバーへの期待の低下」を感じやすくなり、自身の負担も増える傾向があるそうです。部下を育てることから距離を置いてしまうのは、組織全体の成長にとってもマイナスですよね。

- メンバーへの影響
リーダーへの信頼が揺らぐと、メンバーは「モチベーションの低下」や「上司への期待の低下」を感じ、リーダーとの心理的距離が広がり、さらには「離職したい」「この場から逃げたい」という気持ちが高まる傾向があるそうです。これは、働く意欲そのものを失ってしまうことにつながりかねません。

信頼はどう修復される?「謝罪」だけでは終わらない4つのプロセス
では、一度揺らいでしまった信頼は、どうすれば修復できるのでしょうか?調査では、信頼修復に向けた行動にも上司と部下でギャップがあることがわかりました。メンバーから見たリーダーの修復行動実施率は約3割にとどまるのに対し、リーダーから見たメンバーの修復行動実施率は約5割だそう。リーダーの修復行動がメンバーに十分に伝わっていない可能性が示唆されます。

そして、信頼の修復は一度の「ごめんなさい」だけでは完結せず、「理解」「納得」「安心」「再期待」という4つの段階を経て進む可能性が示唆されています。まるで壊れたものを直すように、丁寧なプロセスが必要なんですね。
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理解:まず、何が起きたのか、その原因や経緯を説明することで「理解」が深まります。
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納得:次に、責任を受け入れ、謝罪し、再発防止のための行動を示すことで「納得」が生まれます。
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安心:感情への配慮や一貫した対応を通じて、相手は「安心」を取り戻します。
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再期待:そして、最終的に再び期待できる状態へとつながるのです。


信頼の「回復力」を高めよう!今日からできること
今回の研究結果から、私たち一人ひとりが職場の信頼関係をより良くしていくためのヒントが見えてきます。大切なのは、信頼を揺らがせないことだけでなく、揺らいでしまった時に「信頼のレジリエンス(回復力)」を高め、修復できる力を身につけること。
メンバーへの提言

上席主任研究員 井上亮太郎氏からの提言です。
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違和感や不満を放置しない
信頼が揺らいだとき、つい距離を置いたり、黙ってしまったりしがちですよね。でも、何も伝えないことは、今の状況を認めてしまうことにもつながるんです。違和感を覚えたら、そのままにせず、向き合おうとする姿勢がとっても大切。もちろん、ハラスメントなどについては、相談窓口など第三者機関に頼ることも忘れないでね。 -
事実と解釈を切り分ける
信頼低下は、出来事そのものだけでなく、私たちがそれをどう解釈したかによって大きく増幅されてしまうことがあります。相手の意図や人柄、能力をすぐに決めつけずに、「なぜそうなったんだろう?」「別の見方もできるんじゃないかな?」と、背景や状況に目を向けてみるのも良いかもしれません。 -
沈黙ではなく対話を選ぶ
信頼を修復する第一歩は、やっぱり対話です。期待していること、困っていること、不満に感じていることを素直に伝えてみましょう。そうすることで、上司も状況を理解し、関係を修復するきっかけをつかめるはずです。信頼の揺らぎは、関係の終わりではなく、関係を見直して、より強く再構築するチャンスにもなり得るんですよ。
リーダーへの提言
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事前の信頼は、揺らぎを和らげる「貯金」になる
普段からメンバーを尊重し、話を聞き(傾聴)、サポートし、一貫した行動を心がけることが、いざという時の「信頼の貯金」になります。日頃からの良い関係が、信頼が揺らいだ時の衝撃を和らげるクッションになるんです。 -
信頼低下を左右するのは「出来事」より「受け止め方」
メンバーへの信頼が揺らいだ時、怒りや動揺を感じるのは自然なことです。でも、その後の信頼低下を大きく左右するのは、出来事そのものよりも、その感情と「原因帰属(なぜそうなったかという解釈)」であることを思い出してほしいな。相手に悪意があったと決めつけずに、背景や状況を理解しようとする姿勢が、信頼回復のスタートラインになります。 -
信頼が揺らいだら、段階に応じた修復行動を
もし自分への信頼が揺らいだと感じたら、まず何が起きたのかを説明し(理解を促す)、自分の責任を受け止めて謝罪し、行動を変えることを示しましょう(納得や安心へ)。そして、その後も継続的に関わり、メンバーの意見や不安に耳を傾けること(再期待へ)が大切です。特にリーダーは、信頼の揺らぎに気づきにくかったり、修復行動をためらいがちだったりする傾向があるそうなので、時には謙虚に、自分から一歩踏み出す勇気も必要かもしれませんね。
組織・人事部門への提言
管理職研修では、「信頼を築く方法」だけでなく、信頼が低下するメカニズムや、どう修復していくかのプロセスについても学ぶ機会を提供することが重要です。また、メンバー側にも、信頼の揺らぎへの向き合い方や対話による関係再構築について学ぶ機会を設けることが有効だと考えられます。
まとめ
職場の信頼関係は、一度築いたら終わりではなく、日々のコミュニケーションや出来事によって常に変化する「動的な関係」です。だからこそ、信頼が揺らいでしまった時でも、それを乗り越え、より強くしなやかな関係を築いていく「信頼のレジリエンス」が求められます。
今回の研究結果が、あなたの職場での人間関係を見つめ直し、より良い関係を育むきっかけになったら嬉しいな。みんなで「はたらいて、笑おう。」を実感できる職場を目指して、一歩ずつ進んでいきましょう!
詳しい調査結果はこちらから確認できます。
https://rc.persol-group.co.jp/thinktank/data/spiral-relationship-of-trust-2/
※本調査を引用する際は、出所として「パーソル総合研究所」と記載してください。
※構成比の数値は、小数点以下第2位を四捨五入しているため、個々の集計値の合計は必ずしも100%とならない場合があります。