まず睡眠が整い、そのあとストレスが下がる。TENTIAL独自の「スリープコンディショニング ルーティン」実証実験で主観的な睡眠の質向上とストレス指標の有意な低減
コンディショニングブランド「TENTIAL(テンシャル)」を展開する株式会社TENTIALは、静岡県三島市と伊豆箱根鉄道株式会社と連携し、睡眠に関する実証実験を行いました。対象は伊豆箱根鉄道の従業員40名です。テンシャル独自の「スリープコンディショニング ルーティン」に基づく「睡眠コンディショニングサポートプログラム」を実施した結果、参加者の主観的な睡眠の質が向上し、ストレス指標が有意に低減したことが示されました。
さらに、プログラムを始めると最初に睡眠の質が改善し、その影響を受けて客観的なストレスが低減するという流れも明らかになったとしています。プログラムの開発と実証実験の試験設計には、睡眠障害に対する認知行動療法(CBT-I)における日本の第一人者である、東京家政大学睡眠行動科学研究室の岡島義教授が学術面でサポートしています。

なぜ「睡眠」に注目したのか
OECD(経済協力開発機構)の『Gender Data Portal 2021』によると、日本人の平均睡眠時間は7時間22分(442分)で、OECD加盟国33カ国中で最も短い結果でした。慢性的な睡眠不足は、疲労の蓄積やメンタルヘルスの悪化、業務生産性の低下につながる日本全体の大きな社会課題となっています。厚生労働省「健康づくりのための睡眠ガイド2023」では、睡眠不足による生産性低下等に伴う日本の経済損失は、年間最大1,380億ドル(日本のGDPの約2.92%に相当)に上ると試算されています。
静岡県三島市では、40〜50代の働き盛り世代のメンタルヘルスに関わる地域課題があり、メンタル不調の大きな一因として睡眠不足があげられていました。そこで、市民や市内企業の従業員の睡眠改善、睡眠リテラシー向上の重要性が高まっていたといいます。テンシャルは2025年3月に三島市と包括連携協定を締結しており、その取り組みの一環として、製品・教育・データを組み合わせた今回のプログラムを開発。地域インフラを支える伊豆箱根鉄道に提供し、働く世代の健康維持とメンタルヘルス対策を目的に実証実験を行いました。

実験はどう進められた?
実証は芝パレスクリニックの倫理審査委員会の承認(審査番号:162562_rn-42846)を得たうえで、臨床試験の方法論に基づくランダム化並行群間比較試験として計画・実施されました。睡眠やストレスをアンケートとデバイスで評価し、プログラムがどの程度影響を与えるかを分析しています。
- 対象期間:2026年6月29日〜9月7日
- 対象者:伊豆箱根鉄道 従業員40名
- 試験方法:ランダム化並行群間比較試験
- 主観的指標(アンケート):睡眠(OSA睡眠調査票MA版)、メンタル・ストレス(職業性ストレス簡易調査票)、生活習慣
- 客観的指標:自律神経・心拍変動によるストレス指標(疲労ストレス計「MF-100」)、睡眠の深さ、質等、睡眠関連指標(指輪型ウェアラブルデバイス「SOXAI Ring」)

2週間で睡眠、4週間でストレスに変化
結果を見ると、開始後2週間の時点で睡眠の主観的な指標が改善し、プログラム開始4週間後にはストレスの客観的な指標が改善しました。詳しく分析したところ、「開始後2週間で客観的な睡眠スコアが改善した人ほど、4週間後の客観的なストレスが大きく低下する」という傾向が見られました(p=0.0535)。40名という小規模な実証だったため統計的な基準値にはわずかに届かなかったものの、対象者を増やすことでより明確な結果として実証される可能性を十分に示しているとしています。
テンシャルはこの結果について、「まず睡眠の質が高まり、その効果として遅れてストレスが減っていく」という段階的なメカニズムが実データとして裏付けられたとしています。また考察として、メンタルヘルスにダイレクトにアプローチするだけでなく、睡眠改善をフックにしてメンタルヘルスにアプローチすることも、有効な手立ての一つである可能性を示すものだと考えられるとしています。
プログラムは「知る」「実践する」「測る」の3本柱
睡眠コンディショニングサポートプログラムは、TENTIALコンディショニング研究所が考案した「スリープコンディショニング ルーティン」をベースに、スリープアイテムの使用も含めて「良い睡眠」への習慣づくりを行うものです。構成は「知る」「実践する」「測る」の3つ。知識の獲得と実践を促す「睡眠セミナー」と「ワークショップ」には、岡島教授の監修のもと認知行動療法の知見が取り入れられています。正しい知識の獲得から日常での実践、効果の可視化までをトータルでサポートし、自立的な行動変容とコンディショニングの定着を目指しています。
関係者のコメント
岡島教授は、働く世代の健康問題に伴う経済損失の大半を占めるのが体調不良を抱えながら出勤する「プレゼンティズム」で、睡眠問題はその主要なリスク要因の一つだと説明。科学的な検証を経た睡眠改善プログラムはそれほど多くないなか、信頼性の高い研究デザインである「ランダム化並行群間比較試験」で有効性が示されたことは注目すべき成果だとし、睡眠改善とストレス指標の改善に時間的なずれが認められたことを興味深い結果と述べています。テンシャル執行役員CRO(R&D)の舟山健太氏は、睡眠を切り口としたアプローチがポジティブな傾向を示せたことは、健康維持・増進において意義深い結果だと捉えているとコメントしました。
伊豆箱根鉄道 総務部人事課長の大澤登氏は、参加者が自身の睡眠習慣を見つめ直し、睡眠の重要性への理解を深める良い機会になったと振り返ります。セミナーでは睡眠と健康や日々のコンディションとの関係を分かりやすく学べたといい、BAKUNEやSOXAIリングを活用した取り組みでは、計測結果や日々の変化について社員同士が気軽に話し合う場面も見られ、コミュニケーションの活性化にもつながったとしています。
出典:TENTIAL